「悪人」吉田修一

これは面白かった!始めはサスペンスとして始まるけれど、結局のところはサスペンスという枠ははみ出して登場人物の心に踏み込んで終わります。登場人物の誰しもが「悪人」であり、その歪みがこの事件でじわじわとあぶりだされていく仕組みは面白い。でも何が一番すごいかって、この人今までの男性を主人公とした小説はみんな「なんかみんな中途半端に女々しいなあ」と思ってたのですが、この人女を描くとすごいリアル。女の嫉妬とか平静を装いながら何かを渇望している貪欲さとかがすげーリアルに描かれててぞくぞくしました。いやー、この人はもう男書いちゃダメだよ。