「パリ、ジュテーム」

こんな「んなあほな」なタイトルだけどすごいよかった…。「異邦人から見たパリ」がテーマらしく英語の多いフランス映画、オムニバス。後地方出身の監督の作品も入ってて、パリからしてみたら田舎ものは異邦人なんだね…。すべてのパリの区を網羅していて、短い中にも人生のシニカルな面白さ、パリの美しさ、移民問題なんかをぐったりしない程度に盛り込んでて面白いです。でもダントツいいのが最後の映画。私はパリには住んだことがないから、この旅行者の話がぐっときたのかもしれないけど。それにしてもよかった。主役はアメリカの田舎からやってきた一人旅のおばはん。彼女はほんっとに「だめなアメリカ人」を具現化してて、フランス語はアメリカ訛りできったないし、サルトルボーボアールランボーヴェルレーヌと勘違いして知ったかぶりするし、でっぷり太って色の抜けたGパンにダンガリーシャツ、腰にはウェストポーチという最悪のファッションだしという人物で「いやな感じ〜」と思って見てるんですが、最後彼女が旅行者が陥るすごく切ないエアポケットみたいのにぽこんとはまりこむところで心臓をがしーっとわしづかみされました。パリって旅行者にとってこういう街だよね…。いとおしいけど深いところには近寄れない。だからこそ美しい。私がアメリカのおばはんにここまで感情移入するとはなあ。がーんときました。この監督はすごいと思う。