「A―マスコミが報道しなかったオウムの素顔」森達也

話題の人なんだけど、ハードカバーを買うのは敷居が高いなっつーことで古い本を文庫で買ってみました。オウム時間真っ盛りのときに、オウムのドキュメンタリーを撮ったという話題作。「なぜオウムはサリンを撒いたのか」という疑問から密着取材を始めた作者の目がだんだん「オウムを扱う社会」についての興味へと移っていくところがすごく興味深いです。社会が「善」と「悪」のどちからのレッテルを貼りたがってることへのじんわりとした恐怖が襲ってきます。これはきっと新しい死刑の本にも繋がるんでしょうね。でも映像の人なので、当たり前の話ですがノンフィクションと違って、絶対に何かについて結論をつけることをしないというところがちょっと物足りない感じ。映像のほうがよいのかな。