「職業欄はエスパー」森 達也

始めはエスパーと名乗りテレビに出演している人たちを密着していくのですが、だんだん彼の目が「異端の者を見る『世間』という名のメディア」に移り行くので、この人の生涯のテーマはメディアとそれに映る人との関係性なんだろうな、と。異端VS世間という構図に興味を持った行き着く先が「死刑」というのはすごくよくわかります。最近の「悪いやつはみんな死刑!」と言う人が非常に多いという論調は私もすごく怖いし乱暴だなと思います。異常と正常の差って紙一重という薄氷が、「世間」ってフィルターを通すとすげー分厚いものになっているってところも恐ろしいし。でもなんというか、別に私にとってその「世間」っていうのはイコール「メディア」ではないので、ちょっと残念。まあ、メディアの人が自分のアイデンティティを模索するということなんでしょうが。